マレーシア中華で、ビールが止まらなくなる料理がある。
それが 酿豆腐(ヨントーフ / Yong Tau Foo)だ。
日本人の間ではよく
「マレーシアのおでん」
と紹介されることが多いが、実際はまったく別物。
- 練り物や豆腐に肉や魚のすり身を詰め
- ニンニクの効いたスープ、またはカレーラクサで煮込み
- 好きな具を好きなだけ選べる
——そして何より、
とにかく酒に合う。
本記事では、マレーシア在住15年以上の筆者が、
– 酿豆腐(ヨントーフ)とは何か
– 現地での注文方法
– ビールに一番合う食べ方
– 一人飲みにちょうどいい量と価格感
を実体験ベースで解説する。
「一人でふらっと中華屋に入りたい」
「マレーシアで軽く飲みたい」
そんな人に、これ以上ない一皿だ。
「町中華で飲ろうぜ」の堂々オマージュ企画、『マレー中華で飲ろうぜ』第3弾!
マレーシアの中華料理店に行くたび、いつも思うのです。
この料理で、どうして酒を飲まずにいられようか?
そう、マレー中華は“飲める中華”。
しかも多くの店がリーズナブル価格で、一人でも入りやすい。
このシリーズ記事では、
- マレーシア初心者
- 一人旅・一人飲み派
- 中華×ビールが大好き
そんな人に向けて、
マレー中華の「ワンプレート飯×酒に合う料理」を徹底解説します。

はじめまして「おうすけ」と言います。
このブログでは伊豆や静岡の観光スポット、おすすめグルメ、ランチスポットなど色々な分野を紹介しております。
2023年より、かつて暮らしていたマレーシアに戻ってきました。
今後はしばらく、マレーシアの食や文化、言語について、かつて15年以上マレーシア住んでいた私ならではの視点で紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。
コンテンツ
マレー中華を知ろう
『マレ中華で飲ろうぜ』第一弾|マレ中華テッパンの「鉄板豆腐」で飲ろうぜでマレ中華のメニューや注文の仕方について触れました。
注文の仕方についてはそちらの方参考にしてみてください。
【マレーシア中華料理】酒が止まらない!マレー中華で飲ろうぜ④|一人飲みに最強の麺類
【マレーシア中華料理】酒が止まらない!マレー中華で飲ろうぜ⑤|一人飲みに最強のおつまみ飯
マレー中華での注文方法|一人飲み初心者でも失敗しない
マレー中華に来たら、まず決めるのはこの2択。
① 炒飯・麺などの「一人前メニュー」
② おかずのみを複数注文(※量多め・やや高め)
一人飲みの場合、断然おすすめなのが①のワンプレート飯。
理由は
- 価格が安い
- 提供が早い
- 一人でも気まずくない
日本でいう「丼もの」に近く、
ご飯+おかずがワンプレートで提供されます。
※唯一の欠点は「ご飯が付く=腹にたまる」こと。
ただし軽く1杯飲むならむしろちょうどいい。
しかし、今回やってきたのはいつもとは違うレストランではなく、マレーシアの食事を語るには欠かせないフードコート。
フードコートにもマレー中華が沢山あるのです。」
以前の記事でもちょいちょい紹介していたのですが、マレーシア在住の日本人がよく”マレーシアのおでん”などと紹介している練り物や豆腐をスープに入れた料理があります。
もちろん日本のおでんとは味も具も全く違うんですが。
このマレーシアのおでんと言われているのは「酿豆腐(ヨントーフまたはヨンドウフゥ)niàngdòufǔ」です。
北京語、いわゆる中国人の大半が話しているマンダリンでは漢字をそのままカタカナ読みすると「ニィエンドウフゥ(niàngdòufǔ)」と発音するのですが、この料理の起源となっている中国の客家民族が話す客家語では「Ngiong teu fu ギョン・テウ・フー」または「Yong tau foo(ヨンタオフー)」と発音します。
マレーシアでも大体この音に近い音で呼ばれています。
今日はこの「酿豆腐(ヨントーフまたはヨンドウフゥ)」をおつまみにやっちゃいましょう!
酿豆腐(ヨントーフ)』とは?
この『酿豆腐(ヨントーフ)』は客家(ハッカ)と呼ばれる民族が発祥と言われています。
客家(ハッカ)とは、中国南部に住む民族集団の一つで、主に福建省、広東省、江西省、湖南省、台湾などに居住しています。
彼らの言語は客家語(ハッカ語)です。
マレーシアの華人の中にもこの客家(ハッカ)の人たちがいっぱいいます。
なので当然彼らの料理、客家料理もマレーシアには沢山あります。
マレーシアの客家料理で有名なのは『擂茶(レイチャー)』などがあります。
『酿豆腐(ヨントーフ)』とは
『酿豆腐(ヨントーフ)』は元々四角い豆腐に切り目を入れて、中にスパイスで味付けした羊や豚のひき肉を詰めて、焼いたり、煮たりしたものだった様ですが、そのうち茄子や椎茸や苦瓜の中にひき肉を入れたり、魚のすり身を入れる様になっていきました。
そして、アジアの南に移住していった客家(ハッカ)の人たちがこの『酿豆腐(ヨントーフ)』を広めていき、タイやマレーシア、シンガポールなどに形を変えて伝わっていきました。
以前にチェンマイの記事でも触れたのですが、タイでは『酿豆腐(ヨントーフ)』はだいぶ進化して、イェン・ター・フォー (タイ語: เย็นตาโฟ)と呼ばれ、豆腐を紅麹で発酵させた紅腐乳と、肉または魚のすり身団子をベースとした麺料理となっています。
透き通ったピンク色のスープの麺でとても美味しいですよ。
タイに旅行に行った際は絶対に食べるべき一品です。
『酿豆腐(ヨントーフ)』の注文の仕方
マレーシアやシンガポールに伝わった形は、豆腐や野菜にひき肉や魚のすり身をつめたものをスープに入れて食べる形です。
麺を入れてもらうこともできます。
スープはシンプルな「清汤(チンタン)」や「咖喱汤 or 咖喱咖沙(ココナッツミルクの効いたカレー味スープ)」、それに「东炎汤(トムヤム味)」などが選べたりします。
最近だと「麻辣(マーラー味)」などが選べたりもします。
マレーシアの麺料理の麺の種類の選び方やスープの選び方は過去の記事で詳しく説明しているので、参考にしてみてください。
こんな感じで具が置かれていてこの中から自分で好きな具(種)をトングでとってお椀に入れます。

大きな都市だともっと色々な種類がある店もあるかと思います。
大体どれも値段が皆一緒で、何個取ったかで計算されます。
お皿やお椀を取って、トングでこれらの具から好きなものを好きなだけ選んで、お店の人に渡します。
お皿を渡すと、お店の人にスープの味が何かいいか聞かれて、麺を入れるか?ご飯と一緒に食べるか?などと聞かれます。
クアラルンプールとかシンガポールとか大都市では、スープではなくドライと言われる、選んだ『酿豆腐(ヨントーフ)』の上に黒い甘辛いソースをかけてくれてバージョンもあります。
私が住んでいる地域にはないです。
酿豆腐(ヨントーフ)カレーラクサスープで飲っちゃおう
本日はTiger Beerの660(ロクロクゼロ)で飲っちゃう。

今回選んだのはカレー味スープ。
いわゆる「カレーラクサ(咖喱咖沙)」と言ったらアジア通な皆さんも聞いたことあるでしょうか?
この辺の田舎町では咖喱汤(ガーリータン)とか咖喱汁(ガーリーズゥー)とか言います。

スープの味が濃くてココナッツミルクが入ってて濃厚なんで、ビールのおつまみに最高。
タネにも塩味があるので結構味濃いめです。
ここのお店はタネ一個RM1.60(56円ぐらい)でした。
大体6〜7個ぐらい取ったら一人分でRM9.60〜RM11.2(335円〜390円ぐらい)
ちょっと田舎町の食事としては高いけど。
量的には、これにご飯や麺をつけたら十分な量だと思います。
酿豆腐(ヨントーフ)清汤(チンタン)スープで飲っちゃおう
とある別の日は普通の清汤(チンタン)にしてみました。
清汤(チンタン)というのは字の如くクリアなスープです。

清汤(チンタン)スープがさっぱりに見えますが、ニンニクが効いていたり、フライドオニオンの香ばしい香りがしたり、日本のおでんと一緒で練り物や豚の挽肉から出た出汁がスープに溶け出していてたまらんのです。
よくマレーシアのおでんなんて言われますが、日本のおでんの繊細な味とは違って結構パンチがあるんです。
これが結構日本人にもウケがいい理由かもしれない。

これは茄子や豆腐にひき肉が詰めてあるバージョンで、これまたたまらんです。

酿豆腐(ヨントーフ)の具材には欠かせない赤唐辛子練り物詰めで飲っちゃおう

この赤い唐辛子の中に魚の練り物が入ってるやつ。
実はそんなに辛くないです。
実は大きめの唐辛子はあまり辛くないんです。
特に種と中のスジみたいな白い部分を完璧に取ってしまえば、全く辛くないです。
ただマレーシア人は辛いのが好きなので、そこをちょっと残してあったりするのでちょっとピリ辛でちょうどいいぐらいです。
マレーシアの唐辛子は大きいものはそんなに辛くなく、小さいもの、特に青い色のものはすごく辛いです。
あとは種と白いスジみたいなところがすごく辛いです。
唐辛子の辛さというのは、食べてみないと実際の辛さはわからないと言われていて、たまにすごく辛いのもあったり、全く辛くないのもあったりします。
辛いの苦手な人は気をつけた方がいいかもしれないですね。
でもこの酿豆腐(ヨントーフ)の赤唐辛子練り物詰め結構病みつきになりますよ。

